2014年度理事長所信

第63代理事長 岡本 達明


困難を乗り越え挑戦することで再び輝く日本へ

 かつて戦後の荒廃から奇跡の復興を遂げ、世界第2位の経済大国として輝いていた日本は、今やその輝きを失いつつあります。幾多の経済危機から立ち直れずにいることに加え、国家的負債の増加、少子化による人口減少、高齢化に伴う社会保障費の増大、企業の海外流出、子どもたちの学力低下など国内問題が山積しています。また近隣諸国との領土領海に関する外交問題、為替問題、TPP加入など諸外国との問題も数多く抱えています。これらの問題の一つひとつは様々な要因が複雑に絡み合っているため、何か一つの要因が解決すればすべてうまく進むということはありません。また問題が複雑で大きいため解決の糸口が見つけられず、国内には閉塞感が漂っています。こうした状況は未だかつて世界中のどの国も経験したことのないものです。
 しかし見方を変えれば、これは日本にとって大きなチャンスといえます。今後世界の国々が直面するであろう問題に、既に直面している我が国が、世界に先駆けてこれらの問題に挑戦し克服します。その手法を基に世界中の様々な問題を解決に向かわせるモデルを構築することで、再び世界のなかで輝きを放つ国となり、私たちは誇りを取り戻すのです。

自分の殻を打ち破れ!

 国内製造業を中心に活動拠点の海外移転が加速し、今後もサービス業やその他多くの業種の企業も、規模の大小を問わず海外移転が進むと思われます。また一部産業分野に関しては既に外国人労働者の受け入れも始めています。一方で近年海外への留学生の減少や、若手サラリーマンの海外赴任拒否が増えていることが報道され、今後の国際社会における日本人の姿勢が不安視されています。これは、新しい環境に身を置くリスクを負いながらも自分を成長させようとするチャレンジ精神や、グローバル化していく社会のなかで世界と繋がり、役割を果たそうとせず、程々でやっていければ良いという責任感の希薄化の表れだと思います。
 私たちは自分というものをしっかりもった上で、己だけではなく、相手を理解し、互いの強みを活かして協働に向かわせる力、すなわちコミュニティシップを兼ね備えた人にならなければならないと考えます。大切なことは、生活のなかで立場や背景の違う人、例えば日本人と外国人、大人と子ども、行政と市民などが立場を越えて一緒になり問題解決に取り組むなかで、自らの価値観の幅を広げ、未知の世界に飛び込む勇気をもつことです。しかし今の日本人の多くは、自分が傷つくことを恐れて人と深く関わろうとしません。誰しも知らない世界や経験したことのないことにいきなり飛び込むことは怖いものです。敢えて自分の拠り所から離れて客観的に自分を捉えることで、他者の価値観を受け入れ、自身の価値観に対する誇りや自信に繋がります。青年会議所活動の青少年育成、まちづくり、リーダシップ開発の各分野の事業を通じて、立場や背景の違う人たちと協働してプロジェクトの進行や課題解決に挑むなかで、より深く互いが関わる機会を作り出していくことで、自分の殻を破り大きく飛躍する人材をぎふのまちに創出します。

 1951年にぎふのまちの再興と発展を願う43名の青年経済人によって始まった岐阜青年会議所の役割は一つの転機を迎えていると考えます。私たちが担ってきた「ひとづくり・まちづくり」運動はその広がりを見せ、市民主体のまちづくり団体、青少年育成団体などが立ち上がってきました。これは行政や市民に先駆けて変革の能動者として諸先輩方が活動してこられた一つの成果です。主体的に活動する市民が現れ始めた今、次に私たちがすべきことはぎふのまちを世界のなかで個性と魅力を発揮できるまちとするために、自由な発想と大胆な行動でぎふの未来をデザインするという意気込みで次世代に繋がるまちづくりに挑戦していくことです。誇りあるぎふのまち、魅力あるぎふらしさを創り出す時なのです。

世界に誇れるぎふのまちへコミュニティシップを活かした挑戦

 世界に誇れるぎふのまちの素晴らしさとは何でしょうか。ぎふのまちには川原町や岐阜町の街並みや、和紙や竹を使った団扇や和傘といった産業、そして全国有数の清流長良川といった資源があります。以前から観光資源として活用され、守られています。新たなまちを創ろうとする時、これら資源を活かすことはもちろん大切なことですが、同時にまちを思い、考え、行動する人も大切です。既に多くのNPO法人やまちづくり団体がこのまちのために活動をしています。昨年の活動でもその実情と今後の展開について検証しました。ぎふは全国の同規模の都市に比べて近所付き合いや、自治会の活動が活発といわれています。私たちは緩やかな人と人との結びつきに基づく活動の流れの始まりを、大きな流れに変えていくきっかけとなる役割を担うことで、ぎふのまちの人の和を世界に誇れるものにしていくのです。主体者として活動する市民や各種団体、企業も含め互いに、各々のスキルや経験を活かして地域が抱える問題を協働して解決に導くことで、市民が輝き、このまちの担い手となる主体的な市民が育成されていきます。主体的な市民による人の和によってまちの課題を解決していくことで、ぎふのまちは再び輝くのです。そのためには二つのことが大切だと考えます。一つ目は自分の夢や希望、そしてこうなったらいいなという願望をまちづくりに組み入れることで、市民がまちづくりを自分のことと捉えるようにすることです。夢や希望が計画に織り込まれていけば行動に繋がり、主体者としての活動が始まります。行動する市民の繋がりがコミュニティシップを活かした新たなまちづくりの原動力となるのです。二つ目はぎふのまちが従来からもっている歴史や文化、気質といった風土に加え、多様な価値観や新たな文化をまちづくりに組み入れていくことです。二つの要素である市民が願うまちの実現に向けて主体的に行う活動に、ぎふのまち特有の資産が活かされ たまちづくりで、ぎふのまちはぎふらしさをもった個性溢れるまちになるのです。

自らの未来を描くグローバルな青少年育成への挑戦

 子どもには固定観念がありません。だから私たちが想像しないようなことを平気でやってのけます。夢中になって物事に取り組むと、ほんの僅かな時間でも別人になったかのような成長を見せてくれます。無限の可能性をもった子どもたちは楽しいと思った時に、エネルギーを最大限に発揮してくれます。子どもたちには、新しい環境に挑戦していく勇気と多くの人々と交わるコミュニケーション力、そして相手を理解し受け入れる広い心をもつことで、どのような環境でも自らが思い描く理想を実現していく逞しい人となり、ぎふのまちに留まらず日本や世界という広い世界でも活躍できる人間に成長して欲しいと願います。
 社会では自分自身の力が試されます。それまで学んだこと、経験したことでしか自分の力は発揮できません。だから様々な環境に身を投じることで、将来実践できる自分の力を高めて欲しいと思います。特にこれからのグローバル社会では多様な他者との関わりのなかで、互いの立ち位置と関係性を理解した上で、互いの間に横たわる見えない壁を壊す経験が、将来に亘る関係を築く一歩となります。自分のなかにある意識の壁や言葉の壁は気にしなくてもいいのです。
 子どもたちには己を高めるために挑戦し続けると同時に、自分の未来の姿を思い描き、その実現に向けて挑戦して欲しいと願います。仲間と共に互いに支え合い、励まし合うことで己を高め、相手をも高めることができる人は、困難に対しても自らだけでなく仲間と協力して未来に向かって歩み続けられるものだと確信します。
 現状を打破するのが私たち大人であれば、未来を切り開いていくのは子どもたちです。子どもたちには実社会に即した環境で仲間の大切さと、挑戦する行動力の大切さを体験して今後の人生の糧にして欲しいと思います。

自由な発想と大胆な行動力で未来をデザインできるリーダーになるための挑戦

 現代社会が抱える問題は、細分化され専門性を求められる垂直方向の深まりと、グローバル化の進展と共に多様な価値観や、生活様式を考慮する水平方向の広がりをもって激しく変化し続けています。この状況においてリーダーに求められる役割は、今まで以上に高まっています。
 こうした複雑化、グローバル化していく社会のなかにあってこれからのリーダーに求められるのは、高い専門性と深い知識と教養をもち自分の背景を豊かにすること。既成概念や常識に縛られず自由な発想で問題に挑み続けること。自らの意志に基づき考え動き、時には大胆な行動に移すこと。そして様々な経験を通じて広い視野をもち、多様な価値観を受け入れながら行動していく姿を、組織を構成する一人ひとりに見せて、必要性を伝えて、行動に移させることです。そうすれば多種多様な背景やスキルをもった人の能力や個性を充分に発揮させ、一つのベクトルに合わせることで関わった人の総和以上の成果を出すことができるのです。
 私たち岐阜JCは200人近い、個性豊かな人材の集まりです。私たちは個々のメンバーのもつ個性やスキルを活かした事業展開をしています。常々感じることはメンバーの豊富な知識や経験に基づいた力を活かせば限りなく多くのことができるということです。可能性を秘めた私たちは自分の枠に留まらず、取り払い、既成概念から抜け出すような自由な発想と大胆な行動が伴えば、リーダーとしての資質が大きく広がります。時に破天荒で型破りかもしれませんが、ぎふのまちの未来と自分が関わる組織の未来をデザインできるリーダーになるために挑戦し続けましょう。

共感と理解を呼ぶ運動発信の主体者への挑戦

 JC活動をしていくなかで楽しいと感じ、自信を得る時はどんな時でしょうか。私自身は自分の考えや意見が受け入れられ、事業に反映された時に喜びや楽しみを感じてきました。またこうした方が良くなると思い提案したことが実際に成果に結びついた時に自信を得ることができました。多くの時間を費やしたことで得られた友情を感じた時、苦しみながら事業構築をして成果を出した時など人によって様々です。しかしどんな場合でも喜びや自信は次の行動のモチベーションになります。ですから各メンバーの思いを受け入れてくれる、一人ひとりの存在や役割を認めて受け入れてくれる、岐阜JCはそんな組織であって欲しいと願います。
 私たちは活動の主体者であると同時に自身がその発信者でもあります。組織として会員数の減少に歯止めをかけ、運動発信の主体者である私たちが自信と誇りをもって組織と活動を伝えていくことが必要です。会員数の増加はその活動の伝播する力を強め、組織としての活力に繋がります。志を同じくする多くの同士が集うことこそ最良の運動発信なのです。人口減少や地域経済の低迷など会員の増加を妨げる要因はいくつもあります。まずメンバーが岐阜JCに対し誇りをもつことが必要です。組織と活動の成果を人に伝えることで社会に貢献している実感を得てください。メンバーの帰属意識が高まると同時に、日々の活動がぎふのまちのために成果を生み出し続けていけば、必ず一緒に活動をしようという青年経済人は増えてくるのです。

公益組織としてのあるべき姿を追求し、持続可能な組織への変革

 多くの事業を展開するなかで、私たちの成果とは事業に対する市民の共感や参加を得ていくことです。イベントのように一過性で終わるのではなく、事業後に市民に余韻のように、私たちの目的がじわじわと染み込んでいく事業こそ主体的な市民を育み、共感や参加に繋がると考えます。そのために事業構築は事業の目的を踏まえ目的達成のために、自由な発想を活かしより効果的手法を考えることで成され、時に大胆な行動をもって実施すれば想像を超える成果を生み出すのです。そうしたプロセスになるように導く組織風土にしたいと考えます。そして共感を得るためには、いかに相手に情報を届けるかも重要な要素です。今までもホームページやFacebookを活用した広報活動や、「どてかぼちゃ」を通じた青少年育成事業の告知をしています。もっと私たちが考えていることや活動を積極的な広報活動を通じて伝えることで私たちの運動を伝播していきましょう。対象はぎふの市民に留まらず、県内、国内、そして海外も含まれます。方法は無限にあります。柔軟な発想を活かし様々な方法やメディアを活用した、より戦略的な広報活動を行うことは、私たちの活動に対する理解を深めて頂くと共に、共感を呼び組織の外から応援して頂ける人を増やすことに繋がるはずです。そうした応援団、共感を得た多くの人々の声は私たちの今後の活動の大きな励みになります。同時に共に活動している市民の方々への励みにもなるのです。
 事業構築はルールの遵守の上に成り立ちます。しかしルールを守りながらも、そのルールの導入時期とは大きく時代背景が違う今、改めて何を守り、何を変えていくかの議論をして、実際に行動に移すのです。これからも「世のため、人のため」に活動を続けるためにも速やかに、しかも確実に組織の変革を続けていく必要があるのです。

 私にとって岐阜JCは最高の学びの場です。入会以来一生懸命活動している多くの先輩を始めとする仲間の姿を見てきました。そしていつの間にか一緒にやっている自分がいました。頑張っている仲間の姿はかっこいい。頑張っている人は誰もがこの人と一緒にやりたいと思うような魅力に溢れていました。JCの活動を通じ、自社ではできない規模の事業や、関わることができない分野の方々と一緒に活動するという経験ができました。毎年新しい役割を担うことでその責任と醍醐味を経験しました。ひとのため、まちのために活動することで、まちに賑わいが生まれ、市民の方々が喜び、そして子どもたちが僅かな期間でも大きく成長する姿を間近で見た時、事業を作り上げるという喜びを経験しました。しかし何よりも、人間的魅力に溢れ、共に己を高め続ける仲間に出会えたことが一番の資産です。決して馴れ合いではない、時に緊張感をもち、互いに尊敬できる仲間です。
 ひたむきな姿に人は惹かれます。自分の意見や行動に誇りをもっている人に憧れ、尊敬の念を抱きます。そんな仲間と幾つもの失敗を重ねながらも成果を目指す活動とは自分への挑戦です。JC活動には自分を変えるチャンスがたくさんあります。成長するチャンスがたくさんあります。一人ではありません。支えてくれる仲間、励ましてくれる仲間がいます。恐れずに挑戦しましょう。未来の成長した自分に会うために。未来の輝くぎふのまちを創るために。

 

基 本 方 針

・公益組織としてのあるべき姿を追求し、持続可能な組織への変革
・共感と理解を呼ぶ運動発信の主体者への挑戦
・自らの未来を描くグローバルな青少年育成への挑戦
・世界に誇れるぎふのまちへコミュニティシップを活かした挑戦
・自由な発想と大胆な行動力で未来をデザインできるリーダーになるための挑戦になろう!

 

全 体 事 業

まちづくり事業
青少年育成事業
2015年度新入会員募集